バレエを観てきたよ

うまれてはじめてバレエを見た。
テレビで白鳥の湖を見たことがある程度で、バレエについては本当にまったく何も知らない状態で見たがとても面白かった。
目当ての演目は「ボレロ」。
友人と、ニューイヤーコンサートで聴いたボレロがよかったねという話になったときに、そういえばもともとバレエ音楽らしいね→じゃあ見よっか!と勢いでチケットを取ったのだった。

ボレロはいろんな楽器が入れかわり立ちかわり同じメロディを奏でながら少しずつ少しずつテンション上げていくのが楽しい曲だ。
オーケストラで聴いたときは、今どの楽器が演奏しているのかを探しながら聴くのが楽しかった。
そして、とても小さな音量でそーっと始まった曲が、演奏に参加する楽器を徐々に増やしながら最後までずっとクレッシェンド的にじわじわと高まっていく感じが興奮する。
最後のドシャーンという大音量を聴くと、きたきた!きました!今まさに最高潮に高まってます!という気持ちになる。

バレエで見たらしなやかで軽やかな動きに釘付けになった。
音楽と同じく、少しずつ動きが大きく激しくなっていくのがおもしろかった。
激しい動きをしても優雅で軽やかってすごい。

見てから気づいたが、バレエにはストーリーを具体的に表現するものとそうでないもの(抽象的に表現するもの)とがあるらしい。
前者はセリフのない演劇のような印象で、舞台装置や小道具が出てきたりして、この人はこういう役どころで今はこの人物とこういう会話をしているんだな、ということを想像しながら見るような感じだった。
後者はダンサーだけが出てきてとにかくすべてを身体で表現する感じだった。
白鳥の湖は前者でボレロは後者だ。
私はどうやら後者の方が好みらしかった。
どうも具体的な表現のものを見るとどういう話なのかを読み解こうとする方に気が向きすぎてしまうようで、しなやかさ軽やかさ優雅さなどに集中できないようだった。
しかし抽象的なものにもストーリーはあるそうな。
ボレロの場合、スペインの酒場で踊る女性ダンサーの美しさに周囲の男性のテンションが徐々に上がっていく、ということを表現しているらしい。
ボレロが後者の表現で本当によかったと思う。
もしも前者だったら、私はちょっとしんどいなあと思いながら見なければならなかっただろうから。

ところで、今回最も興味深かったのは実はダンサーがミスをした部分だった。
あまりに優雅に軽やかに美しく動いているのでミスしたと気づかず、後からもしかしてミスだったのかな?と思ったのだった。
美しく作られたバレエをミスなく終えたら美しくて当然だと思うが、ミスしてすら優雅で美しいとは。
変な話だが、そこにこそ日々の努力の積み重ねを感じた。